「ノール」
名を呼ばれ振り返った先で光がちらついた
咄嗟に手を差し出して、手のひらに飛び込んできた一つの指輪
”導きの指輪”
そう呼ばれるものだ
ノールはエフラムと”導き”とを交互に見つめる
エフラムは常と同じ
自分に対するときはどこか硬い顔
ノールは、ゆっくりと”導き”を眺めた
かつて日々を研究に投じていたとき
”導き”が得たいと苦悩した日々
周囲の無理解
嫌悪の目線
芳しくない結果
”導き”を見つめても、得られない道筋
……あの時の、私の”導き”は
エフラムは指輪に眼差しを注いだノールにもう一言だけ声をかけた
「お前はその力を、引き出せるな」
ノールは顔をあげた
既にエフラムは遠ざかっている
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