晴れやかな間で娘は笑った
「お久しぶりですわ」
明るい翡翠の瞳を煌かせて言う王女に、双碧の王と王女は笑って答える
悲しいばかりの戦争が終わり二年
こうして、時たま訪れるロストンの王女
彼女は回廊を照らす明るい光のような華がある
兄に面している時は一層だ、とエイリークは密かに微笑む
「ではエイリーク、ラーチェルの滞在中の世話はお前に任せる」
「はい、兄上。無理はなさらないでくださいね」
多忙な兄は承知でいるのだろうか
承知であるならこうもあっさり執務室に去ってしまわないだろう
ラーチェルはエイリークを見て微笑んだけれど、やはりどこか違う笑みだと思う
わるい、ひと
「エフラムに会いに来たのではありませんもの!全然寂しくなんてないですわ!」
(……寂しいんですね、ラーチェル)
波乱のロストン聖王女滞在期間
暗がりの間で、男は嗤った
蠢く不恰好な代物を、それは大切に撫でる
ぼくは、このひとをしらない
ぼくは、このこえをしらない
ぼくは、このいきもののいきざまをしらない
だから、全てはコピー
このひとのかおをしたこぴー
あのひとのコピー
(わるい、ひと)
あれから二年が経った
ようやく目処が立とうとしている
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