それは鏡の中の戦争
ありえたかもしれない
もう一人の自分




「――ユリウス?」
闇の中で振り返った気配がした。微かに笑いに滲む彼に何度目かの苦言を放つ。
「子供狩りは、止めてくれないかと再三言っている」
「アーサーはお優しいことだ」
「ユリウス!」
皇子は笑うだけで取り合いはしない。
「私は、止めない」
そうして笑うことで、常にアーサーの反論を止めてしまうのだ。
これは既に体に刻み込まれた闇への恐怖と呼んでいい。
「……反乱軍の中に、イシュタルがいる」
その言葉に、ユリウスは一層妖しげな色を見せた。
「ブルームは再三の通告に関わらずトールハンマーを継承させたか。」
「全くフリージの血縁への思いには恐れ入る。それでブルームは?」
「揶揄るなよ……殺した。わかるだろ、イシュタルは無理だ」


お前のところには、絶対こない。

途端体を舐め尽すような闇の帳に襲われて、アーサーは息を詰める。
だがこんなものは慣れてる……。
「……五月蝿い」
ユリウスの言葉に、アーサーは溜息をついた。


鏡の中の君


それは鏡の中の戦争
決して「もし」のない
ありえない自分




小説「鏡の中の戦争」の、鏡の中のアーサー。
ミラー・ミスティのアーサーともいう。
ああ、このアーサーは死んでしまうのだなあ勿体無いなあという気持ちと共に
死んでしまうキャラだからこそ、映える設定だなあとも思います。 



主線:COPICmulchiliner 着色:水彩 加工:PhotoshopElements2.0
(07/06/03)